【独立会計士インタビュー】税務経験ゼロから独立|川上公認会計士事務所 川上さんの仕事・お金・苦労のリアル

この記事は以下の方におすすめ
・独立後の仕事をどう取るのか、実例を知りたい公認会計士
・「人脈がない」「営業が苦手」と独立を迷っている方
・税務未経験で申告業務を受けることに不安がある会計士
・銀行や監査法人での経験を独立後の強みに変えたい方
・公認会計士になった後のリアルなキャリアを知りたい受験生
とむやむくん独立5年目くらいまでの独立会計士のリアルを聞く、「とむやむくん独立会計士インタビュー」。今回は、2023年に独立した公認会計士・税理士の川上 拓哉さんにお話を伺いました!
・30代で働きながら公認会計士試験合格
・修了考査合格、公認会計士登録済、現在独立、転職エージェントとしても活動
・SNSフォロワー1万人超アカウントで情報発信中
川上さんは、みずほ銀行で中小・中堅企業の融資を担当したあと、公認会計士試験に合格。
あずさ監査法人で上場会社や学校法人の監査を経験し、マネージャーになる前に独立しました。
独立時点で仕事はあったのか。営業は何をしたのか。そして、なぜ「何でもやります!」と伝えて失敗したのか。
税務未経験で、最初の申告書を出すのは怖くなかったのか。
今回は、紹介で仕事を取る方法、安く受けすぎた失敗、単価の決め方、税務を一人で抱えない体制、銀行経験の生かし方まで、かなり具体的に聞かせていただきました。
先に結論をいうと、川上さんの仕事獲得で最も効果があったのは「人からの紹介」です。
ただし、「何でもやります」では仕事の価値も相手の記憶も曖昧になります。「私はこれをやっています。この仕事を紹介してください」と具体的に伝えることが大切だと話してくれました。
そして税務未経験で独立するなら、申告書をレビューしてくれる師匠や相談先を先に作ること。
ここは、川上さんが今も税務責任の重さを感じているからこそ出てきた、かなりリアルな回答だと思います。
今回の独立会計士インタビューで分かったこと
| 読者の疑問 | 川上さんの実体験から見えた答え |
|---|---|
| 仕事はどこから来る? | FP、弁護士、会計士仲間など、人からの紹介が中心 |
| 営業で何を伝える? | 「何でも」ではなく、紹介してほしい仕事を具体的に伝える |
| 税務未経験でも始められる? | 一人で抱えず、申告書をレビューできる師匠・相談先を先に作る |
| 独立前に必要な監査経験は? | 本人の考えではインチャージが最低ライン。若ければマネージャー経験も有効 |
| 監査以外の仕事はどう作る? | 興味のある分野を周囲へ伝え、組織内の役割や専門家同士の協業へつなげる |
| もう一度戻っても独立する? | 答えは「絶対にする」。責任は重いが、仕事・時間・お金を自分で選べる |
川上さんの話の中心は、派手な営業テクニックではありません。
独立前から関係を作ること、自分が提供できる仕事を言葉にすること、分からない分野を一人で抱えないこと。この3つが仕事の土台になっています。
今回のゲスト|銀行員から独立した公認会計士・川上 拓哉さん
まず導入として簡単なご紹介ですが、川上さんは現在は公認会計士・税理士として活動なさっています。
経歴としては、みずほ銀行で中小・中堅企業融資を担当したあと、有限責任あずさ監査法人で上場企業・学校法人等の監査に従事し、現在は独立されています。
また、Stellar Science Foundationという会社の経理・財務を担当もなさっています。
とむやむくんまず、これまでの経歴と、現在どんな仕事をしているのか教えてください。
川上さん:
大学を卒業して、みずほ銀行へ入行しました。最初の約4年間は支店で中小企業向け融資、特に新規開拓を担当していました。
その後、公認会計士試験の受験を決めて、合格後はあずさ監査法人へ入りました。監査法人では6〜7年ほど、上場会社の監査や学校法人監査を担当しています。シニアとして、上場会社のインチャージも経験しました。
2023年に独立して、今は横浜を中心に活動しています。
仕事量で見ると税務と会計が半々くらいですが、報酬の構成は会計業務の方が大きいです。
税務では法人顧問に加えて相続も扱い、会計では組織の経理・財務支援や専門的なプロジェクトへ入っています。
銀行員から公認会計士へ|自分のキャリアを自分で選びたかった
とむやむくん新卒では、なぜ銀行を選んだのでしょうか?
川上さん:
父も会計士なので、公認会計士という仕事はなんとなく頭にありました。ただ、学生時代は部活動ばかりで、その時点で本気で会計士を目指していたわけではありません。
将来、会計士を目指したくなるかもしれない。それなら、少しでも親和性があり、その後にも役立ちそうな仕事へ進もうと思って銀行を選びました。
とむやむくん銀行員として働く中で、なぜ本当に公認会計士を目指そうと思ったのですか?
川上さん:
当時の職場では上司にも可愛がってもらって、仕事自体はうまくいっていました。
ただ、銀行では定期的に異動があり、どこで誰に評価されるかによってキャリアが大きく変わると感じていました。
自分の実力だけではコントロールできない要素に、人生を預けるのが怖くなったんです。
専門資格があれば、自分でキャリアの選択肢を持ちやすくなる。
30歳になる前に取っておきたいと思い、公認会計士を目指しました。
とむやむくん会計士試験合格後、あずさ監査法人を選んだ理由は何でしたか?
川上さん:
当時は採用市場にも余裕がありました。
その中で、面談したパートナーの方が一番熱心に声をかけてくれて、お互いの感覚が合ったのがあずさでした。
銀行出身なので金融事業部へ進んだと思われやすいのですが、銀行の内部を監査側から見たいという関心はなかったんです。
銀行員時代も、関心があったのは融資先である一般企業でした。
そのため、上場会社や学校法人などの監査を担当しました。
なんとなくですが、銀行経験者から監査法人に入った方は金融事業部的な所に配属希望しているイメージがあったので少し意外でした。ただ、川上さん本人的には「自分がいた業界の中を外からもっと知りたいなんて思ったこともなかった」とのとこで、まあ確かにそうなのかもなあ…なんて思ってしまいました。
なぜマネージャーになる前に独立した?「自分の責任で時間とお金を使いたい」
とむやむくん監査法人で6〜7年働いて、なぜ転職ではなく独立を選んだのでしょうか?
川上さん:
銀行で約4年、監査法人で6〜7年と、長い間ずっと若手の立場で働いてきました。
管理職の経験がないまま年齢を重ね、組織内で年齢に合ったキャリアを作る難しさも感じていました。
もう一つ大きかったのが、自分の責任で時間とお金を使いたいという気持ちです。
仕事を選ぶことも、時間を配分することも、自分の判断でやってみたいと思いました。
とむやむくんマネージャーまで経験してから独立しようとは思いませんでしたか?
川上さん:
私は待てませんでした。シニアとして上場会社のインチャージまで経験したので、ここで一区切りでいいと思って辞めました。
ただ、20代で監査法人へ入った方なら、私はマネージャーまで経験した方がいいと言います。
マネージャーまで進んでから独立した人は、会計士業界のネットワークが広く、前職との関係から仕事につながっているケースも見てきたからです。
独立の最低ラインを聞かれたら、個人的にはインチャージ経験です。
若い方ならマネージャーまで経験し、可能であれば監査以外の専門領域も一つ持っておくとよいと思います。
独立に必要な年次は一律ではありません。
川上さん自身はシニアで独立しましたが、若い会計士にはマネージャー経験を勧めています。「自分がいつ辞めたか」と「他の人へ何を勧めるか」を分けている点が印象的でした。
独立初年度は何で生活した?仕事を持ってから退職した
とむやむくん独立した時点で、すでに仕事はありましたか?
川上さん:
ありました。Stellar Science Foundationの仕事と監査法人の非常勤があれば、まずは生活できるだろうと考えていました。
Stellar Science Foundationには、独立する約2年前から無償で関わっていました。
2週間に1回ほどミーティングへ入り、退職後に正式な契約へ切り替わった形です。
立ち上げたのが中学・高校時代の同級生だったことが、最初の接点でした。

とむやむくん独立1年目は、どんな仕事の組み合わせで売上を作っていましたか?
川上さん:
Stellar Science Foundationの仕事、監査法人の非常勤、税務顧問が2〜3件くらいでした。
さらに、ある会社へ定期的に入る経理補助の仕事も受けていました。
とむやむくん初年度の売上は、監査法人時代と比べてどうでしたか?生活資金はどのくらい準備していましたか?
川上さん:
売上は、監査法人時代と同じくらいか、少し上回ったと思います。
生活資金として持っていた貯金は約100万円でした。
大きな余裕があったわけではありませんが、すでに仕事の見込みがあったので、何とかなると考えていました。
仕事はどう取った?紹介が中心でも「何でもやります」は失敗した
とむやむくん現在の仕事は、どこから来るものが一番多いですか?
川上さん:
一番多いのは人からの紹介です。最近はFPの方や地元の弁護士の方から、税務顧問などをご紹介いただくことが増えました。
弁護士は学生時代の同級生です。FPの方とは、私が家を探しているときに紹介されたことをきっかけにつながりました。
最初から「営業先を探そう」と会った相手ではなく、日常の縁が仕事につながっています。
やはり紹介からの仕事獲得が多いですね…。今までの独立会計士インタビューの方々はもれなく紹介が一番多い、とおっしゃっています。うーん私は紹介よりも営業が多いかもしれないです(私の業務は少し特殊なので)
紹介を「お願いします」だけで終わらせない
とむやむくん紹介を増やすために、何か工夫していることはありますか?
川上さん:
ご紹介いただいた方には何かしらの形でお返しできることを提案するようにしています。
紹介してほしいとお願いするだけで、こちらから何も返せない関係にはしたくないと考えたからです。
もちろん、紹介された案件を全部受けるわけではありません。自分が責任を持って対応できる相手か、契約前に判断します。
「何でもやります」で受けた仕事は大失敗だった
とむやむくん独立初期の営業で、失敗したことはありますか?
川上さん:
独立1年目は、自分で開拓しなければと思って地域の団体へ入り、会った経営者へ「何でもやります。仕事をください」と伝えていました。
そこで、ある会社の経理補助を週2日ほど、定額で受けました。
将来は別の仕事にも広がるかもしれないと思っていましたが、うまくつなげられませんでした。
1年から1年半ほど続けて、最終的には終了しました。私にとっては、仕事の取り方を考え直す大きな失敗でした。
ここにはすべて書いてないですが、川上さんの独立1年目の営業はかなり積極的で、え、そんなところまで営業に行く?ということまでしていらっしゃいました。ですが、ここに書いてあるように失敗も経験されているので、今ではそこまでハードな営業はしていらっしゃらないそうです。
とむやむくん今なら、仕事を紹介してほしい人へどう伝えますか?
川上さん:
「私はこれをやっています。この仕事を紹介してください」と、具体的に伝えます。
「何でもやります」では、相手の頭に何も残りません。
来たとしても、安く頼める仕事になりやすい。
お願いしたい仕事を具体的に言えば、その相談が出たときに思い出してもらえます。
とむやむくんもし今、人脈ゼロ・顧客ゼロで独立したら、最初の3か月に何をしますか?
川上さん:
独立して活躍している会計士へ、話を聞きに行くと思います。
会計士同士でつながり、先輩がどんな仕事をしているかを知る。そこから一緒に仕事をする機会が生まれることもあります。
私自身、会計士仲間からM&Aや不動産ファンド関連の仕事を紹介してもらいました。
人脈を広げるというより、実際に動いている人と関係を作り、自分が何を手伝えるかを伝えることが大切だと思います。

紹介は、名刺の枚数より「何を頼める人か」が伝わっているか。
川上さんの失敗と現在の仕事獲得を分けたのは、営業量よりもサービスを具体化して「自分が何の人か」をわかってもらうことでした。
独立当初の単価はどう決めた?安く受けすぎると後から上げにくい
とむやむくん独立当初、仕事の値段はどうやって決めましたか?
川上さん:
最初は本当に苦労しました。税務は他の税理士事務所の料金表を見て、相場を調べました。
会計士業務は、監査法人の非常勤で得られる時給を下回らないようにしようと考えました。
プロとして提供できる自信があるなら、最初から安くしすぎない方がいいです。
一度低い金額で受けると、同じ相手へ後から値上げをお願いするのは難しくなります。
とむやむくん実際に、契約を見直した仕事もありますか?
川上さん:
あります。単価が低く、対応の負担が大きい仕事は終了しました。
最初は「何でもやります」という気持ちで受けましたが、採算や対応範囲が合わない契約を続けると、他の仕事へ使う時間もなくなります。
私も経験ありますが「何でもやります!」本当に何でも(しかも安い単価で)依頼が来るので、できることを明確にしたうえでしっかりした単価交渉をするようにしましょう。
高単価の仕事は、期間・責任・稼働も一緒に見る
とむやむくんこれまで受けた中で、単価が高かった仕事はどんな仕事でしたか?
川上さん:
Stellar Science Foundationに関連する公的なスタートアップ支援プロジェクトで、経理の取りまとめをする仕事です。
個人事業主では契約できなかったため、この仕事を受ける法人も作りました。
報酬は高いのですが、期間が決まっている案件です。この仕事があるうちに、税務など継続する収入基盤を作らなければいけないと考えています。
もう一つは、会計士仲間から紹介されたM&Aの売り手側DD支援です。
私はまだ1〜2件目で、最初は補助として入っています。
売り手企業が、買い手側から求められる資料や質問へ対応するのを支援する仕事です。
単価は確かに重要なのですが、仕事内容が自分と会っているか、稼働量、ストレス、継続性など様々な角度から検討するようにしましょう。その業務のせいで自分が一番やりたい仕事ができなくなる場合もあります。
「銀行員×会計士」は独立後の強みになる?数字と経営者の両方を見る
とむやむくん独立してみて、「銀行員×会計士」の経験は武器になっていますか?
川上さん:
強みにはなっていると思います。税務顧問を提案するときも、単に記帳や申告をするだけではなく、銀行目線での助言もできますと伝えています。
銀行時代は中小・中堅企業を見て、監査法人では上場会社を見ました。
今はスタートアップの顧問もしています。企業の成長段階が変わっても、それぞれの場面で見てきたことを生かせるのが自分の強みです。
とむやむくん銀行で融資を担当していたときは、企業のどこを見ていましたか?
川上さん:
当時の私の担当では、黒字か赤字かといった数字に加えて、経営者が誠実な人かどうかも大切にしていました。
事業計画や決算書だけではなく、社長がどのような人かも見ていましたね。
とむやむくんスタートアップが川上さんへ相談すると、一般的な税務顧問と何が違うのでしょうか?
川上さん:
税務だけでなく、銀行の立場から資金調達を考えられることです。
さらに監査法人で上場会社を見てきたので、今の帳簿を整えるだけでなく、会社が次の段階へ進むときに何が必要かも一緒に考えられると思っています。
税務未経験からどう学んだ?「一人で抱えるのは難しい」
とむやむくん監査法人出身で税務実務がほとんどない中、どうやって税務を身につけましたか?
川上さん:
本当に、実際にやりながら覚えていきました。
最初は年末調整や支払調書のような基本的な実務も分からない状態でした。
父の事務所で使っていた税務ソフトを利用し、分からないことは小学校時代からの友人である税理士へ電話して聞いていました。
父とは仲が悪いわけではありません。ただ、基礎的なことほど父には聞きづらく、同級生へ相談していました。最近は、個別の相談で注意すべきことを父に聞く場合もあります。
とむやむくん最初に自分の責任で申告書を出すのは、怖くなかったですか?
川上さん:
めちゃくちゃ怖かったです。
今も「この判断で合っているのか」と思うことがあります。
間違いがあれば、自分の責任になります。税務は今でも責任の重い仕事だと感じています。
とむやむくん今から税務未経験の会計士が独立するなら、何を準備すべきでしょうか?
川上さん:
申告書をレビューしてもらえる師匠のような人や、困ったときに相談できるバックアップ体制は、絶対に作っておいた方がいいです。
必ずしも税理士事務所へ入る形だけではありません。
最初に作った申告書を見てもらう、判断に迷ったときに相談できる関係を作るなど、一人で完結させないことが大切です。

税理士登録と、安全に税務実務を行えることは別です。
受任範囲、期限管理、レビュー、相談先を整え、判断できない業務を無理に一人で抱えないようにしてください。
顧問税務だけではない|独立会計士の仕事は人との縁から広がった
Stellar Science Foundationでは社外CFOに近い役割
とむやむくんStellar Science Foundationには、どのような経緯で関わることになったのでしょうか?
川上さん:
立ち上げに関わったのが、中学・高校時代の同級生でした。声をかけてもらい、独立前から手伝うようになりました。
役割を簡単に表すなら、社外CFOに近いと思います。
日々の経理をすべて自分で処理するというより、経理・財務の立場から組織に入り、必要に応じて様々な面で協力しています。
とむやむくんこうして一つの組織へ継続的に入る仕事は、独立会計士におすすめですか?
川上さん:
時間を強く拘束されすぎないのであれば、安定につながると思います。
個人ではできない仕事も、組織に入っているからこそ経験できます。
そこで出会った方との関係から、別の仕事が生まれることもありました。
独立して最初に感じるのが「毎月固定で収入が欲しい」ということかと思います。収入の安定感が全然違ってくるので、可能ならばそういった業務を積極的に取りに行くのもおすすめです。
サステナビリティは「やりたい」と周囲へ伝えて仕事になった
とむやむくんサステナビリティ関連の仕事は、どうやって最初の案件につながりましたか?
川上さん:
監査経験だけの会計士は多いので、自分なりの専門分野を作りたいと思っていました。
サステナビリティへの関心を飲み会などで周囲に話していたところ、関連業務を支援する会社と契約し、仕事を手伝う機会をいただきました。
温室効果ガス排出量の集計方法について、各拠点のプロセスを確認するような仕事です。
私は最終的に保証をする立場ではなく、その補助として入りました。
監査で行う業務プロセスの確認に近い部分があります。
M&Aと不動産ファンドは会計士仲間からの紹介
とむやむくんM&Aや不動産ファンド関連の仕事は、どこから来たのでしょうか?
川上さん:
どちらも会計士仲間からの紹介です。M&Aは売り手側DDの補助から始めています。
不動産ファンドでは、関連する会計業務へ関わっています。
独立した時点で、すべての経験がそろっていたわけではありません。まずは補助として入り、経験を積んでいます。
会計士同士のつながりがあると、自分一人では見つけられない専門業務へ入る入口になります。
独立してから新しくスキルを磨こうとすると方法がかなり限られていて、補助者として関与できるなら積極的にやってみるのがいいかなと私も感じています。それが自分の経験・キャリアとして蓄積すれば、自分のサービスとして商品化できる可能性もありますから。
一人で働くつもりが、スタッフ採用で組織化へ変わった
とむやむくん今後、事務所をどのようにしていきたいですか?
川上さん:
従業員を増やして、組織として広げていきたいと思っています。
独立当初は、人を雇うのは大変なので、自分のできる範囲で仕事をして、毎日18時頃までに終えられればいいと考えていました。
ただ、今はスタッフがいて、私が苦手な作業も熱量を持って担当してくれています。
その方へ仕事を任せられることで、事務所として受けられる仕事の幅も広がりました。
働く方にも納得できる報酬を払いながら、一緒に組織を作っていく。
雇ってみて、自分がやりたかったのはこちらかもしれないと思うようになりました。
とむやむくん今後、特に増やしたい仕事は何ですか?
川上さん:
まず、税務だけでも生活できるところまで基盤を厚くしたいです。
その上に、会計士としての仕事を積み上げたいと思っています。
資金調達で困っている会社や、社内に財務人材がいないスタートアップへ、社外CFOのような形でスポット支援する仕事も増やしたいです。
税務だけでなく、会社が次の段階へ進むための財務支援をしたいですね。
もう一度戻っても独立する?現在地は60点
とむやむくん監査法人を辞める直前に戻っても、もう一度独立しますか?
川上さん:
絶対にします。
時間と責任が全部自分に集まるので、税務のようにプレッシャーの大きい仕事もあります。
でも、自分で選んだことです。本当に合わなければ契約を見直すこともできます。
仕事を選べる。お金の使い方を選べる。時間の使い方を選べる。その自由さが、私は自分に合っていると思います。
とむやむくん今の独立生活へ100点満点で点数を付けるなら、何点ですか?
川上さん:
60点くらいです。今は大きな期間限定案件に支えられている部分があるので、それが終わったときにどう補うかという不安があります。
税務の収入基盤をもっと厚くして、自分の専門業務も育てたい。まだ伸ばせる余地がたくさんあるので60点です。
とむやむくん最後に、独立を考えている会計士や、公認会計士を目指す受験生へメッセージをお願いします。
川上さん:
私は、公認会計士になって本当によかったと思っています。
監査法人に残る、企業へ転職する、独立する。資格を取ったことで、キャリアの選択肢と収入面の安心感が広がりました。
監査法人にいる方は、そこでしかできない経験をしっかり積んでほしいです。
最低限インチャージを経験し、若い方ならマネージャーまで進む。
できればIPOやFASなど、監査以外の分野も一つ経験してから独立すると、仕事の幅を作りやすいと思います。
独立会計士に関するよくある質問
- 独立会計士の仕事はどこから来ますか?
-
川上さんの場合、FP、弁護士、会計士仲間など、人からの紹介が中心です。独立前から関係があった同級生の団体と、監査非常勤も初年度の土台になりました。
- 人脈ゼロで独立するなら、最初に何をすべきですか?
-
川上さんは、活躍している独立会計士へ話を聞きに行くと答えています。単に名刺を増やすのではなく、自分が手伝える仕事を具体的に伝え、協業できる関係を作ることがポイントです。
- 「何でもやります」と営業するのは、なぜよくないのですか?
-
相手の記憶に残らず、安く頼める仕事だけが来やすいからです。川上さんは「この仕事を紹介してください」とサービスを具体化してから、紹介につながりやすくなったと話しています。
- 税務未経験でも公認会計士として独立できますか?
-
川上さんは税務未経験から実務を始めましたが、一人で抱えないことを強く勧めています。申告書をレビューできる師匠、判断に迷ったときの相談先、期限管理の体制を作ってから受任範囲を広げる必要があります。
- 銀行員経験は公認会計士の独立に役立ちますか?
-
川上さんは、税務顧問へ銀行目線の助言を加えられる点を強みにしています。融資担当として中小・中堅企業を見た経験と、監査法人で上場会社を見た経験を組み合わせ、企業の成長段階を広く考えられます。
- 独立前に監査法人のマネージャー経験は必要ですか?
-
必須とは限りません。川上さん自身はシニア・インチャージ経験で独立しました。ただし、本人の考えではインチャージが最低ラインで、若い方にはネットワークや管理経験を得られるマネージャーまで進むことを勧めています。
- 独立初年度から監査法人時代と同じ収入を得られますか?
-
川上さんは同程度か少し上回ったとの記憶ですが、独立前からの仕事と監査非常勤があった個別事例です。再現を保証するものではありません。
- 独立すると会社員より自由になりますか?
-
川上さんは、責任とプレッシャーは大きくなる一方、仕事・時間・お金を自分で選べる自由が自分に合うと話しています。仕事がなくなる不安や税務責任も含めての自由です。
- 川上さんへ仕事を相談するには、どうすればよいですか?
-
川上さんに仕事を依頼した場合はFacebook(こちら)からお願いします。
ほかの独立会計士インタビューも読む
独立後の仕事の作り方は一つではありません。
以下から独自サービス、IPO・経営企画、税務・社労士など、別の道を選んだ会計士の実体験も比較してみてください。
まとめ|仕事を紹介してほしいなら「何ができるか」を具体的に伝える
川上さんの独立は、銀行、監査、税務、社外CFO型支援という複数の経験が、最初からきれいにつながっていたわけではありません。
同級生の団体へ独立前から関わり、監査非常勤で生活の土台を作る。
一方で、「何でもやります」と営業して安い仕事を受け、将来の仕事へつなげられない失敗もしました。
- 独立前から、将来仕事になり得る相手との関係を作る
- 紹介してほしいサービスを具体的な言葉にする
- 値段は作業だけでなく、責任と機会費用まで考えて決める
- 税務未経験なら、レビューと相談の体制を先に作る
- 興味のある専門分野を周囲へ伝え、まず補助から経験する
- 大口案件があるうちに、継続する収入基盤を育てる
現在地の自己評価は60点。それでも、監査法人を辞める前へ戻っても「絶対に独立する」と川上さんは答えました。
独立の自由は、責任がなくなることではありません。自分で引き受ける仕事、時間、お金を選べることです。
これから独立する方は、まず「何の仕事を紹介してほしいのか」「その仕事を一人で安全に完結できるのか」「困ったときに誰へ相談するのか」の3つを考えてみてください。
とむやむくん「何でもやります」ではなく、「この仕事を紹介してください」と言えるところまで整理する。川上さんの成功だけでなく失敗も含めた話は、独立前にも独立直後にもかなり参考になると思います!
今回インタビューを受けてくださった川上さんへのお問い合わせは以下からお願いいたします。






