準大手・中小監査法人をおすすめする7つの理由|BIG4以外はあり?

この記事は以下の方におすすめ
・公認会計士試験合格後の就職先をBIG4だけで決めてよいか迷っている方
・準大手監査法人や中小監査法人で得られる経験を知りたい方
・若手のうちから監査の全体像やIPO業務に関わりたい方
・将来の転職や独立から逆算して監査法人を選びたい方
とむやむくん何も考えずに「とりあえずBIG4」で決めてしまうのは、正直少しもったいないです。
・30代で働きながら公認会計士試験合格
・修了考査合格、公認会計士登録済、現在独立、転職エージェントとしても活動
・SNSフォロワー1万人超アカウントで情報発信中
公認会計士試験に合格すると、就職先としてまず名前が挙がるのはBIG4監査法人です。
大企業の監査、充実した研修、ブランド力。もちろん、BIG4にはBIG4にしかない大きな魅力があります。
ですが、準大手監査法人や中小監査法人が「BIG4に入れなかった場合の第二希望」なのかというと、全然そんなことはありません。
監査の全体像を早くつかみたい、経営者に近い場所で仕事をしたい、IPOや独立につながる経験を積みたい方にとって、準大手・中小監査法人は積極的に検討する価値のある就職先です。
本記事では、公認会計士・監査審査会が公表した「令和7年版モニタリングレポート」などをもとに、
準大手・中小監査法人をおすすめする理由、注意点、向いている人、説明会で確認したい質問まで整理します。
「中小なら必ず早く成長できる」「BIG4より必ず働きやすい」という意味ではありません。担当業務、教育体制、繁忙期の働き方は法人やチームによって当然かなり違います。この記事では規模別の傾向を整理しますが、最後は各法人の公開資料と説明会で確認してください。
準大手監査法人・中小監査法人とは?まず区分を整理
結論から言うと、準大手監査法人は「大手監査法人に準ずる規模の監査法人」、中小監査法人は「大手・準大手以外の監査法人」です。
公認会計士・監査審査会の2025年版モニタリングレポートでは、次のように整理されています。
・大手監査法人:あずさ、トーマツ、EY新日本、PwC Japanの4法人
・準大手監査法人:仰星、三優、太陽、東陽の4法人
・中小監査法人:大手・準大手以外の監査法人
ここで大切なのは、単に人数が多い・少ないという話ではありません。
組織の規模が変わると、担当するクライアント、監査チームの構成、研修の仕組み、上司や経営者との距離、若手に任される業務の範囲も変わる可能性があります。
(なので違いを知っておくことは結構重要です)
| 比較項目 | BIG4 | 準大手 | 中小 |
|---|---|---|---|
| 組織規模 | 非常に大きい | 大手に準ずる規模 | 法人ごとの差が大きい |
| 研修体制 | 専門部署・職階別研修が充実する傾向 | 専門部署・職階別研修を整備する傾向 | 独自研修から協会研修中心まで幅がある |
| チーム構成 | 人数が多く分業しやすい | 人数は限られるが能力に応じて分担 | 少人数になりやすく、責任者の役割も大きい |
| 国際ネットワーク | 全法人がグローバルレビュー対象 | 全法人がグローバルレビュー対象 | 所属状況・レビュー状況は法人による |
| 向きやすい志向 | 大企業・専門分野・国際業務 | 組織基盤と幅広い経験の両立 | 全体像・近い顧客対応・特定領域 |
参考:公認会計士・監査審査会「令和7年版モニタリングレポート」6〜7頁、82〜83頁、107〜109頁
準大手・中小監査法人をおすすめする7つの理由
準大手・中小監査法人の魅力は、単に「組織が小さいから自由」という話ではありません。
自分が将来やりたい仕事から逆算したときに、BIG4よりも結果的に近道になる、そこにあります。
1. 監査の全体像を早い段階でつかみやすい
BIG4が担当する超巨大企業では、売上や固定資産など一つの勘定科目だけでも相当な作業量になります。
そのため、若手のうちは担当領域が細かく分かれ、会社全体や監査計画の全体像が見えるまで時間がかかることがあります。
一方、比較的小規模なクライアントを少人数で担当する場合は、複数の勘定科目や監査手続に関わる機会が増えます。
「監査の一部分を深く経験する」より先に、「監査が最初から最後までどうつながるか」を理解しやすいのは、準大手・中小の大きな魅力です。
ただし、入所直後から全科目を任されるとは限りません。気になる方は説明会等では「1〜3年目が担当する勘定科目」「監査計画や報告まで関われる時期」を具体的に確認しましょう。
とむやむくんBIG4では同じ科目ばかりやらされて全然監査の全体像をつかめなかった、準大手中小に行って途端に監査の解像度が増した、なんて話はよく聞きますよね…。
2. クライアントの経営者・監査役・責任者との距離が近くなりやすい
監査は調書を作るだけの仕事ではもちろんありません。
経理担当者から話を聞き、論点を整理し、ときには経営者や監査役へ説明するところまで含めて監査、と言えるでしょう。
チームが小さければ、若手でもクライアントとの打ち合わせに同席したり、質問や資料依頼を自分で組み立てたりする場面が増える可能性があります
(まあもちろんBIG4でもあるとは思いますが、準大手中小の方が間違いなく多いです)
この経験は、将来事業会社へ転職する場合も、コンサルティングや独立を目指す場合も役に立ちます。
とむやむくん会計基準を知っているだけでなく、それを相手に伝えて動いてもらう力。コミュニケーション能力も問われれてきますし、独立や転職の場面では、こちらの方が効いてくることも多いです。
3. IPO監査・上場準備会社に関わる選択肢が広がっている
「IPO監査は大手だけの仕事」というイメージがあるかもしれませんが、現在は準大手・中小の存在感も大きくなってきています。
令和7年版モニタリングレポートによると、2024年12月期に新規上場した国内会社の監査事務所別シェアは、大手49%、準大手27%、中小24%でした。
新規上場会社の約半数を、準大手・中小監査法人が担当していた計算になります。
また、報告徴収の対象となった中小監査法人52法人のうち、IPO準備会社へ監査業務または非監査業務を提供しているとの回答率は、令和6事務年度に72%でした。
結構多いですよね…。
IPO準備会社では、監査だけでなく、内部管理体制、内部統制、決算早期化など企業が成長する過程の課題に触れることができ、
間違いなく成長の機会としては最高だと思います。
IPO案件は成長機会がある一方、内部管理体制が発展途上で監査リスクが高い場合もあります。IPO案件の「件数」だけでなく、品質管理の支援体制や経験者の配置も確認が必要です。
参考:公認会計士・監査審査会「令和7年版モニタリングレポート」35〜37頁
4. 若手でも判断・説明・進行管理を経験できる可能性がある
少人数のチームでは、一人が受け持つ役割が広くなりやすいです。
これは単純に作業量が増える、という意味にもなりますが、環境が良ければ早い段階から自分で考えて仕事を進める力が身につきます。
たとえば、監査手続の実施だけでなく、クライアントへの質問、後輩の調書確認、進捗管理、監査計画の一部などです。
「何年在籍したか」より、「自分で何を判断し、誰に説明し、どこまで責任を持ったか」を話せる経験は、その後のキャリアでも強い材料になります。
とむやむくん転職エージェントをやっている立場で言うと、チーム自体は小規模だとしても主査として現場を回した経験はやってない場合と比較してとんでもなく高くなります。(主査までいかなくても副主査のような形でも全然評価は違います)
5. 準大手は「組織的な研修」と「現場の近さ」を両立しやすい
準大手監査法人は、大手と中小の中間というだけではありません。
令和7年版モニタリングレポートでは、大手・準大手について、研修実施の専門部署、年次別・職階別の研修体系、IPO特有の論点や不正リスク対応を含む研修などが紹介されています。
さらに、同レポートでは準大手4法人の全てが所属するグローバルネットワークによるレビューを受けているとされています。
つまり準大手は、一定の組織基盤や国際ネットワークを持ちながら、大手よりも組織やチームの距離が近い環境を探したい方にとって有力な候補です。
「中小の機動力には惹かれるけれど、研修や国際対応も重視したい」という方は、まず準大手から比較すると選びやすいです。
参考:公認会計士・監査審査会「令和7年版モニタリングレポート」108頁
6. 法人ごとの得意分野・地域・クライアントに合わせて選べる
中小監査法人をひとまとめにして「こういう法人」と表現するのは、正直難しいです。
上場会社監査に強い法人、IPO準備会社へ注力する法人、学校法人や社会福祉法人など特定分野に強い法人、地域企業との関係が深い法人などなど…、方向性はさまざまです。
だからこそ、自分のやりたい領域が明確な方には選びやすい面があります。
上場会社を担当したい場合で本当に詳しく調べたい方は、候補法人が日本公認会計士協会の上場会社等監査人名簿に登録されているか、どのような会社を監査しているかを確認してみるのもいいです。
(まあHP見れば大体のことはわかりますけどね…)
確認先:日本公認会計士協会「上場会社等監査人登録制度」「登録上場会社等監査人情報」
7. 独立や事業会社への転職から逆算しやすい
将来独立したい方に必要なのは、監査技術だけでは当然ありません。
クライアントの課題を聞く力、相手に説明する力、仕事全体を管理する力、複数の論点を自分で整理する力も必要です。
準大手・中小で幅広い業務や近い顧客対応を経験できれば、独立、地域企業の支援、事業会社の経理責任者などにつながることがあります。
ただし、一方でBIG4のブランドや大企業監査の経験が転職で評価される場面も当然あります。
法人名だけで選ぶのではなく、3〜5年後に説明できる「具体的な経験」から逆算して選ぶことが大切です。
独立後の働き方が気になる方はこちらの記事も参考にしてください。

とむやむくんBIG4のブランド力が独立後に効いてくることもかなりあります。ただ一方で準大手中小の幅広い監査経験もかなり有効です。それもあって(?)なのか、BIG4→準大手・中小、という流れから独立している方も結構多い印象を受けます(準大手中小は非常勤という方もいます)
準大手と中小、どちらがおすすめ?向いている人を比較
迷った場合は、「幅広く経験したい」という言葉をもう一段具体的にしてみるといいと思います。
| 希望 | 向きやすい選択肢 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 研修と現場経験を両立したい | 準大手 | 年次別研修、配属、ローテーション |
| IPO・上場会社を幅広く経験したい | 準大手またはIPOに強い中小 | 案件数、自分が配属される可能性、品質支援 |
| 少人数で監査全体を見たい | 中小 | チーム人数、担当範囲、査閲体制 |
| 地域・特定分野に強くなりたい | その領域に強い中小 | クライアント構成、継続案件、専門家数 |
| 国際業務も重視したい | 準大手または国際ネットワーク所属法人 | 実際の海外案件、語学要件、派遣実績 |
準大手・中小に向いている可能性が高い人
・担当範囲を広げ、監査の全体像を早く理解したい
・経営者や監査役に近い場所で説明力を鍛えたい
・IPO、地域企業、特定業種など関心領域がある
・組織の看板より、数年後にできる仕事を重視する
・自分から質問し、学ぶ機会を取りに行ける
準大手・中小監査法人のデメリットと注意点
準大手・中小をおすすめする理由を書いてきましたが、もちろん弱点もあります。
- 研修・専門部署に差がある:中小では協会研修が中心となり、業種別の独自研修を十分に用意することが難しい例もあります。
- 大規模・複雑な監査を経験しにくい場合がある:メガバンクや総合商社など、巨大企業特有の論点はBIG4が強い領域です。
- 少人数だから楽とは限らない:人が少ない分、一人の業務範囲や繁忙期の負担が大きくなる可能性があります。
- 法人差が非常に大きい:「中小」という名前だけでは、給与、残業、品質管理、雰囲気を判断できません。
- 転職先によってはBIG4経験が評価される:大企業、外資、特定のアドバイザリー領域では大手監査経験が応募条件や歓迎条件になることがあります。
公認会計士・監査審査会も、中小規模監査事務所では経験や業種に応じた独自研修の提供が難しい事例がある一方で、比較的規模の大きい事務所では職階別研修やeラーニングを整備する事例もあるとしています。
「中小だから」という理由だけで判断せず、その法人の研修、品質管理、常勤者数、担当会社、離職状況を個別に確認してください。
後悔しないために説明会・面接で聞くべき8つの質問
いきなりここ!と一社に決めるのは避けましょう。
おすすめなのはBIG4、準大手、中小から少なくとも一社ずつ説明を聞き、同じ質問をして比較することです。
- 1〜3年目は、具体的にどの業務・勘定科目を担当しますか?
- 平均的な監査チームの人数と、常勤・非常勤の構成はどうなっていますか?
- インチャージ、監査計画、経営者への報告を経験する平均年次はいつですか?
- IPO・上場会社・希望業種へ配属される可能性と条件は何ですか?
- 新人研修、職階別研修、質問できる専門部署はありますか?
- 繁忙期と通常期の残業、休日出勤、リモートワークの実態はどうですか?
- 評価・昇格は何を基準に決まり、希望しない配属を変更できますか?
- 直近の退職理由として多いものは何ですか?(これは聞きにくいかもしれませんが…)
パンフレットに書かれた「風通しが良い」「若手が活躍」といった言葉だけでは、正直ほとんど比較できません。
年次、人数、案件数、制度、実例まで聞くと、その法人で自分が働く姿をかなり具体的に想像できます。
BIG4についての特徴を比較したい方はこちらの渾身の記事もご覧ください。

まとめ:BIG4以外は妥協ではなく、キャリアから逆算した選択肢
準大手・中小監査法人は、BIG4の代わりに仕方なく選ぶ場所ではありません。
・監査の全体像を早くつかみやすい
・クライアントや経営者との距離が近くなりやすい
・IPO監査で準大手・中小の存在感が高まっている
・若手から幅広い役割を経験できる可能性がある
・準大手は研修基盤と現場の近さを両立しやすい
・得意分野や将来の独立から逆算して選べる
一方で、研修の厚さ、大規模監査の機会、人員体制、繁忙期の負担は法人によって違います。
大切なのは「大手か中小か」だけで決めることではなく、数年後にどのような仕事ができる会計士になりたいかを先に考えることです。
その答えに準大手・中小の環境が合うなら、堂々と第一志望にしていいと思います。
もし、こういった監査法人周りのキャリアでお悩みであれば私自身が転職エージェントとして細々と活動をしているので、お気軽にご連絡ください。
(実はこの法人はこんなうわさが…なんて話までお教えします。雑談だけでも全然OKです。)
\ キャリア相談希望!とご記載下さい /
よくある質問(Q&A):準大手・中小監査法人への就職
- 中小監査法人は試験合格直後の就職先としておすすめですか?
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監査の全体像、近い顧客対応、特定分野を早く経験したい方には有力です。ただし、新人研修、常勤の指導者、担当予定の業務を確認してから選んでください。
- 準大手監査法人とはどの法人ですか?
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公認会計士・監査審査会の令和7年版モニタリングレポートでは、仰星監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人、東陽監査法人の4法人を指します。区分は公表資料の年度によって確認してください。
- BIG4以外を選ぶと転職で不利になりますか?
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一律に不利とは言えません。BIG4経験を歓迎する求人がある一方、IPO、インチャージ、顧客折衝など具体的な経験が評価される求人もあります。希望する転職先から逆算して担当業務を選ぶことが重要です。
- 中小監査法人でも上場会社やIPO監査を経験できますか?
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経験できる法人はあります。2024年12月期の新規上場国内会社では中小監査法人のシェアが24%でした。ただし、候補法人の登録状況、クライアント、実際の配属可能性を確認してください。
- 中小監査法人はワークライフバランスが良いですか?
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規模だけでは判断できません。少人数で柔軟に働ける法人もあれば、人員が限られ一人の負担が大きい法人もあります。繁忙期・通常期の実績を分けて質問しましょう。
- 最初に何を比較すればよいですか?
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法人名や初任給だけでなく、1〜3年目の担当業務、チーム構成、研修、希望配属、繁忙期の働き方を比較してください。同じ質問をBIG4・準大手・中小へ聞くと違いが見えやすくなります。






