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独立会計士の価格・単価の決め方|見積もり例と値上げの伝え方

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独立会計士の価格・単価の決め方|見積もり例と値上げの伝え方
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この記事は以下の方におすすめ
・独立して初めての見積もりを出す公認会計士の方
・顧問先への対応が増え、今の単価でよいか悩んでいる方
・将来の独立に向けて、仕事の値段の決め方を知りたい会計士受験生の方

とむやむくん

独立後の単価は、必要な売上と使える時間を計算し、引き受ける仕事の範囲とセットで決めましょう。

筆者(とむやむくん)プロフィール

・30代で働きながら公認会計士試験合格
・修了考査合格、公認会計士登録済、現在独立、転職エージェントとしても活動
・SNSフォロワー1万人超アカウントで情報発信中

「この仕事、いくらで受ければいいんだろう」

独立すると、専門的な判断とは別に、自分の仕事へ値段をつける場面が出てきます。

まずやることは、必要な年間売上(もしくは月売上)を、売上を生む顧客業務の時間で割ってみることです。

その基準に案件ごとの工数を当てはめ、顧客が必要とする成果や対応範囲を確認して提示額を決めます。

本記事では、架空の計算例から月額の見積もり、値上げの伝え方まで順につなげます。

実例として、当サイトで公開した独立会計士へのインタビューも紹介します。

本文中の金額は計算方法を説明するための仮定です。報酬相場・平均年収・推奨料金を示すものではありません。主に会計支援などの受託業務を扱い、監査契約や税務顧問の料金表を一律に示す記事ではありません。

目次

独立会計士の単価は「何を、どこまで行うか」と一緒に決める

単価とは、時間・月・案件など、一つの取引単位あたりの報酬です。

同じ月額でも内容によって採算も負担も変わります。

最初に、顧客が受け取るものを言葉にする

「会計顧問を月額いくらで」という聞かれ方をすると、金額から答えたくなりますよね。

でも、月1回の相談だけなのか、毎月の資料作成まで行うのかで仕事は別物です。

金額を出す前に、成果物と対応範囲を挙げてみてください。

たとえば

「会社が用意した月次データをもとに資金繰り表を更新し、月1回の面談で見通しを説明する」

ここまで決めると、必要な作業や資料を考えやすくなります。

社外CFOという肩書を使う場合も同じです。

助言を行う範囲と、会社が意思決定する範囲を分け、肩書だけで何でも引き受ける契約にしないことが大切です。

相場や非常勤時給は、条件をそろえて比較する

なにか参考になる価格はないかな…と思った時、

他の事務所の料金や監査法人の非常勤時給は、良い比較材料になります。

ですが、表示金額だけに気を取られないようしましょう。

見たいのは、その金額にどこまでの作業が含まれ、誰が費用を負担するかです。

(結構な残業も想定されている、とか、交通費は出しません、みたいなところも割とあります)

税抜・税込の違いもそろえて確認しましょう。

特に、雇用契約の時給と、自分が営業や請求まで行う業務委託の時間単価は、そのまま同じには扱えません。

面談の1時間以外に準備が必要なら、その時間も含めて比べるようにしましょう。

ちなみに監査法人非常勤の時給についてはこちらの記事もご覧ください。

必要売上と請求可能時間から、基準単価を計算する

最初は、自分の事業計画を満たすための基準をしっかり作ります。

ここで出すのは採算を考える出発点です、顧客が必ず払ってくれる価格…ではありません。

1.自分に残したいお金と事業経費を分ける

独立後の売上は、そのまま自由に使えるお金ではありません。

事務所の運営費用も、税金や社会保険料の支払いも考える必要があります。

まず「事業経費を払った後に、いくら残したいか」を決めます。

以下は、個人で会計支援を行う人の架空の年間計画です。

消費税を除いて収支を考え、案件ごとの外注費・旅費は後で別に積み上げる前提にします。

スクロールできます
年間計画の項目仮の金額考え方
自分に残す目標額720万円所得税等・本人の社会保険料を払う前。手取り額ではない
事業の共通経費180万円会費やシステム代などの年間予算
事業に残す余裕60万円再投資などに充てるための計画上の余裕。経費とは別
案件の直接費を除く必要売上960万円720万円+180万円+60万円

月の生活費から逆算する場合は、納税などに備える金額も別に見積もります。

生活費と経費を同じ感じで集計していくと、必要売上の意味が分からなくなってしまうので注意しましょう。

借入返済や大きな設備投資がある方は、この簡略例とは別に資金繰りを確認してください。

(売上の計画だけで、手元資金の不足まで解消できるわけではありませんからね…)

2.働ける時間をすべて請求可能時間にしない

年間200日、1日7時間働くなら、総稼働時間は1,400時間です。

ここから、営業や自分の事務に400時間、学習や予備に200時間を取ると仮定します。

顧客業務に使える時間は800時間です。

先ほど積算した必要売上960万円を使うとすると

基準単価は960万円÷800時間=1時間12,000円と計算できます。

ここでは便宜上、固定報酬の案件で成果物を作る時間も「請求可能時間」に含めます。

スクロールできます
年間の顧客業務時間(仮定)必要売上960万円に対応する基準単価
600時間16,000円/時間
800時間12,000円/時間
1,000時間9,600円/時間

同じ必要売上でも、確保できる時間が変われば基準単価は変わります。

仕事が入る見込みが薄い段階で、1,000時間を必ず埋められる計画にしないようにしましょう。

計算した単価で受注できそうになければ、顧客や提供内容を見直します。

経費・目標額・時間の配分を調整することも必要です。

とむやむくん

このシミュレーションで行けば、常に時給1万円以上で働く&常に仕事がある、という状態でなくてはならないので、独立初期であれば結構大変なことがわかりますね。

3.受注後は「総工数」で実質時間単価を確かめる

見積もりでは20時間でも、準備や連絡を含めると30時間だった。

こうなると、予定した採算から離れていきます。

案件の実質時間単価は、報酬から案件の経費を引き、実際の総工数で割って確認します。

たとえば税抜24万円の報酬で経費がなければ、20時間では12,000円、30時間では8,000円です。

3万円の外注費も必要だったなら、30時間で7,000円になります。

この数字には、まだ共通経費や税金などの負担が残っていますので、手取り時給ではありません。

また、年間予算に含めた同じ費用を、案件側でも重ねて控除しないよう整理しましょう。

時給・月額顧問・案件単位をどう使い分ける?

工数が読みにくい仕事は時間精算、継続する範囲が見える仕事は月額、成果物と区切りが明確な仕事は案件単位

みたいな感じを出発点に考えると整理しやすくなります。

時間単価は、作業の見通しが立ちにくい段階に使う

時間精算では、請求対象となる作業と予算上限を先に共有することが大切です。

顧客から見ると、最終的にいくらになるのか?というのはかなり気になるところです。

たとえば「初回の資料確認は上限5時間。その結果を共有して、次の作業を別途見積もる」と区切ったりします。

調査が必要なのに、内容を確認する前から全体の固定価格を約束する必要はありません。

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方式向いている状況の例先に決めること
時間精算資料の状況が分からない初期調査時間に含む作業・精算単位・上限超過前の相談
月額固定毎月同じ範囲を支援する会計顧問月ごとの成果物・面談回数・相談範囲
案件単位納品物と終了条件が明確な資料整備納品物・修正条件・検収や支払いの段取り

自分の一般的な勉強時間まで、当然に請求してよいわけではありません。

案件固有の調査や準備をどう扱うか、相手が理解できる条件にしておきましょう。

月額顧問は、定例業務と相談への対応を見積もる

月額報酬には、資料を作る時間だけでなく、定例面談の準備や確認の連絡も含めて考えます。

いつでも対応してほしいという依頼なら、対応できる時間帯も確認したいところです。

月額だから相談も作業も無制限、という状態は避けましょう。

後で例も示していますが、

月次の資料確認・更新に8時間、面談と準備に2時間、相談に2時間、最終確認に2時間、見積上の予備に2時間を取ります。

合計16時間なら、先ほどの基準単価(1万1,200円)で19万2,000円です。

そこから、顧客が必要とする支援範囲と予算を話し合い、月額20万円を提案する例を考えます。

(この端数調整も含めて仮の設定であり、月額顧問の相場ということではありません)

日常の記帳から整える必要があるなら、毎月の運用とは別に、初期整備の範囲と費用を見積もると説明しやすくなります。

案件単位は、完成の条件を具体的にする

案件単位の固定報酬は、顧客が予算を把握しやすい方法です。

一方で、当初想定していない修正をすべて含めてしまうと、作業量が膨らみます。

「資料作成一式」だけで終わらせず、どの資料を、どの状態で納めれば完了かをそろえておきます。

資金繰り表なら、対象期間を何か月とするか、元になるデータは誰が用意するかを決めます。

納品後に別の事業計画を追加する場合は、元の契約に含まれるかを確認してから見積もり直します。

固定額で引き受けた仕事が自分の想定より長引いただけなら、それだけを理由に一方的な追加請求はできません。

自分の見積もり不足と、顧客からの範囲変更は分けて考える必要があります。

月額20万円の見積もり例|値段より先に範囲を見せる

金額を説明するときは、顧客が受け取る支援と、その前提を一緒に示します。

以下では例を示します。

含む仕事と含まない仕事を、同じ提案書に書く

顧客向けの見積もりには、成果物・対応範囲・価格を並べて書きましょう。

自分の必要売上は内部の判断基準です。

顧客には、その金額で何を頼めるのかが伝わる説明が必要になります。

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項目架空の提案例
支援内容会社作成の月次データをもとに、6か月先までの資金繰り表を毎月更新
成果物と面談更新した資金繰り表と確認事項メモ。オンライン面談は月1回60分
日常相談対象資料に関するメール相談。実作業は月2時間までを対象とする
対象外日常の記帳、税務申告、銀行面談への同席、監査・保証業務
資料提供と納期必要資料一式を毎月第5営業日までに受領し、第10営業日までに更新版を納品。遅延時は日程を再協議
価格月額20万円(税抜)。消費税額・税込総額は見積書に別記
追加・更新範囲外の作業は着手前に別途見積もり。開始3か月後に次期条件を協議

相談が月2時間を超えそうなら、その時点で知らせる運用にします。

未使用時間の繰越の有無も決めておくと、月による認識のずれを減らせます。

なお、内部の16時間という見積工数は、顧客へ16時間分の作業を無条件に約束する意味ではありません。

固定報酬の対象は、合意した範囲と成果物です。

とむやむくん

なんとなーく月15万、20万みたいな数値で提示しても顧客の納得は得にくいです。すべて示す必要はないですが、納得できるだけの根拠を示して提示するようにしましょう。

追加業務は、着手前に金額と納期を合意する

「ついでに銀行向けの説明資料も」という依頼があったら、すぐ作り始める前に、既存範囲に含まれるかを確認します。

対象外なら、追加で行う内容・金額・納期を伝え、合意してから着手する流れにしましょう。

「今回の資料作成は月額支援の対象外です。必要資料を確認したうえで、追加のお見積もりと納期をご案内します」で十分です。

長く言い訳する必要はありません、正直に伝えましょう。

値下げを求められたとき・値上げしたいときの考え方

価格の相談は、業務範囲と一緒に行うと話を進めやすくなります。

同じ仕事を同じ品質で続けられるのかを、先に確かめましょう。

予算が合わなければ、必要な品質を守れる範囲へ調整する

「もう少し安くならないですか」と言われたら、まず相手が何を優先しているかを聞きます。

資料の更新は必要でも、毎月の面談は不要かもしれません。

値段を下げるなら、減らせる業務と減らせない確認作業を確認しましょう。

当サイトの川上さんインタビューでは、会計士業務の価格を考える際に非常勤時給を比較基準にしたことや、単価に対して対応負担が大きい契約を終了した経験をお話しいただいています。

出典:川上さんインタビュー「独立当初の単価はどう決めた?」(2026年9月1日更新)

実績作りで試しに受けるなら、初回だけの範囲と期限を明確にします。

将来値上げできるはず、という期待だけで、終わりのない安い契約を組まないようにしたいところです。

値上げは、変わった仕事と次の条件を具体的に伝える

値上げを相談するときに役立つのは、実際の工数と対応内容の記録です。

最初の見積もりと、どこが変わったかを示せるようにします。

月額20万円の例で総工数が16時間から20時間に増えたなら、実質時間単価は12,500円から10,000円に下がります。

社内で必要性を検討したうえで、同じ20時間を見込む支援を24万円へ変更できれば、12,000円に戻ります。

以下は、その相談を始めるための文例です。

現行の月額20万円は、資金繰り表の更新と月1回の面談を前提にしています。最近は銀行向け資料の作成も継続して発生しているため、次回更新時から、この作業を含む月額24万円(税抜)のプランをご相談したく存じます。ご予算を維持される場合は、当初の支援範囲に戻す案も含めてお話しできればと思います。

既存契約を一方的に変更する文面にはせず、適用時期を含めて協議しましょう。

初回の調査が大きい仕事は、小さく区切って受ける

実績が少ない段階では、自信がない分だけ価格を下げたくなるかもしれません。

ですが、見込みのわからない作業量まで安い固定額に含めると、後から苦しくなります。

全体が読めない仕事は、最初の調査や診断だけを別の段階として見積もる方法があります。

「現在の資料を確認して課題を整理する段階」と「改善作業を実施する段階」を分け、前の段階が終わってから次の範囲と金額を決めます。

有料で行うなら、その確認作業自体の内容と費用に合意が必要です。

単価だけでなく入金時期も確認しましょう。

長い案件なら、進行段階ごとの請求を提案できるか検討します。

資金繰りに無理が出る契約を、総額が大きいという理由だけで受けないことも大切です。

とむやむくん

私も入金が半年先、みたいな案件をまとめて受けたことがあり、結構苦しい時期がありました…。

単価を上げるために、受注後に記録しておきたいこと

一度作った料金を固定し続ける必要はありません。

どの支援が役に立ち、どこで時間がかかったかを振り返り、次の提案を具体的にしていきます。

資格名だけでなく、顧客が使える成果物を説明する

公認会計士という資格は案件獲得の入口にはなります。

ですが、顧客が実際に依頼する場面では、目の前の課題にどう対応してもらえるかが大切です。

「会計の相談に乗れます」から一歩進めて、誰が、どの判断に使える資料や助言を提供するかを伝えます。

資金繰り支援なら、単に表を渡すだけでなく、資金が不足しそうな時期と前提の変化を面談で確認する、と説明できます。

仕事の内容を具体化することが、価格への納得につながるかを確かめましょう。

融資の実行や利益の増加など、自分だけでは決められない結果まで保証する必要はありません。

説明できる実績を積み、任せてもらう範囲に応じて価格を検討します。

案件ごとに、予定工数と実績のずれを残す

次の見積もりをよくするために、金額と総工数をセットで記録しましょう。

複雑な管理表でなくても大丈夫です。まずは次の項目を、案件ごとに1行で残してみてください。

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記録する項目次の判断に使う方法
税抜報酬・案件の直接費共通経費を賄う前に、いくら残るかを見る
予定工数・実際の総工数追加対応か、見積もり不足かを分ける
範囲外の依頼・顧客の反応次回の標準範囲や提案内容を見直す
請求日・入金日・更新時期売上の計画と資金繰りを照合する

高い単価でも、連絡への対応が細切れに入り、ほかの仕事を引き受けられなくなる場合があります。

時間数に加え、拘束される時間帯も振り返ると、無理なく続けられる案件が見えてきます。

とむやむくん

おー、この単価ならいいじゃん、と思って受けても実は稼働時間以外の資料確認やメール対応にめちゃくちゃ時間がかかる…みたいなことは割とあります。気をつけましょう(気を付けます)

まとめ:まずは1件、範囲と工数を書いて見積もってみる

独立会計士の価格設定は、必要な売上を確認し、顧客へ約束する仕事へ落とし込む作業です。

相場を探し続けるだけでは、自分の受注基準は決まりません。

・必要売上と顧客業務の時間から、自分の基準単価を計算する
・工数だけでなく、成果物と対応範囲を顧客と共有する
・追加業務は着手前に条件を合意する
・受注後の工数を記録し、次の見積もりや更新に使う

いま相談されている仕事を一つ選び、含む仕事と含まない仕事を考えてみてください。

最初から完璧な料金表を作るより、1件の仕事を具体的にする方が判断しやすくなるはずです。

価格だけでなく、仕事の取り方から顧客管理までまとめて整理したい方は、独立後ガイドも参考にしてください。

独立会計士の価格・単価に関するよくある質問

独立した公認会計士の単価は、まず何を基準に決める?

必要な年間売上を、売上を生む顧客業務の時間で割り、自分の基準単価を計算します。そのうえで工数と直接費を見積もり、業務範囲や提供価値を顧客とすり合わせます。計算結果は一律の相場ではありません。

時給と月額顧問のどちらにすればいい?

作業量が読めない初期段階は時間精算、毎月の範囲が決まっている支援は月額を出発点に検討できます。時間精算では予算上限、月額では含む作業と追加対応の条件を明確にしましょう。

独立直後は、実績作りのために安く受けてもいい?

試行として受けるなら、必要な品質と採算を確認し、期間・範囲・終了後の条件を事前に合意します。自信がないからという理由だけで、無制限の作業を低い固定額に含めないようにしましょう。

追加の相談を別料金にしてもいい?

最初に合意した範囲に含まれるかを確認します。対象外なら、追加で行う内容と料金を伝え、合意してから着手します。すでに契約に含まれる作業を、後から一方的に別料金にはしません。

AIやテンプレートで早く終わったら値下げするべき?

実際の作業時間で精算する契約なら、合意したルールに沿って実時間を報告します。成果物や業務範囲に対する固定報酬なら、短時間で終わったことだけで自動的に価格が変わるわけではなく、品質と契約条件を満たしているかを確認します。

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