・監査トレーニーの仕事内容、求人募集の探し方が知りたい方
・公認会計士受験生の方で合格前に監査法人に入りたい方
監査トレーニーは特に公認会計士受験生に最高におすすめです。
公認会計士受験生の皆様は、監査トレーニーというのを聞いたことがあるでしょうか。
公認会計士じゃないけど、監査を補助する人…?みたいな漠然としたイメージがあるかと思います。
ですが、受験生の方は特にこの制度については確実に知っておいた方がいいです。
・監査トレーニーは公認会計士受験生なら検討すべき
・試験休暇、実務経験、効率的に勉強できるなどメリットだらけ
この記事では監査トレーニーの仕事内容や求人の探し方、内定率を高める方法などについて解説します。
※この記事の信頼性について
筆者は公認会計士試験に合格し、実際多くの監査トレーニーと一緒に仕事をした経験があり、信頼できる情報を提供でできます。
監査トレーニーって何?
まず監査トレーニーとは、
公認会計士や米国公認会計士(USCPA)の資格取得を目指す方が、実際に監査業務を行いながら資格取得を目指せる制度のことです。
監査トレーニーという言い方EY新日本有限責任監査法人で主に使われる呼び方となってはいますが、
一般的に公認会計士資格取得を監査業務を行いながら目指す職種のことを『監査トレーニー』と呼ぶことが結構浸透しています。
公認会計士試験合格前から監査法人に入ることができる上、実務経験を積みながら資格取得を目指せるということで、受験にとても人気にある制度です。
この制度は監査法人としても公認会計士資格取得前から人員を確保しておきたい(いまだに人員不足ですしね…)という思惑があります。
まあ、会計士に合格しても必ずしもその法人で働く必要はないのですが、法人としても資格取得を万全のフォロー体制で支援してくれます。
監査トレーニーは公認会計士試験やUSCPAの受験生であればだれでもOKなケースと、
短答式試験合格を条件としているケースと、大きく2パターンありますので、
詳細は各法人の求人情報をご参照ください。
監査トレーニーは特に社会人受験生の方は一旦は検討する価値はあるでしょう。
監査トレーニーの待遇
実は監査トレーニーはかなり恵まれた待遇を得ることができます。
・年収、収入
・残業時間
・その他(予備校補助、合格後就職)
それぞれ解説していきます。
雇用形態(正社員、契約社員)
監査トレーニーの雇用形態としては大きく2つ、正社員と契約社員(アルバイトのようなもの)に分かれています。
これは完全に法人による、というところが多いですが、私が聞いている中では契約社員の方が多めかな…という印象です。
元々監査トレーニーの方であれば、大きな責任を負うような業務を任されることは少ないですが、
契約社員であれば出勤日数を柔軟に対応することができるため、勉強時間の確保やプライベートを充実させることも十分に可能です。
年収、収入
やはり法人によるところが多いのですが(こればっかりですみません…)
ですうが、
年収:300~400万円(賞与含む)
求人情報を見ていると、一般的にこのくらいもらえるようです。
これ、もはや社会人としてはかなり申し分ないレベルではないでしょうか?
(私が公務員で勤め始めた時よりはるかに多いです…悔しい)
ちなみに監査トレーニーの収入に関してBIG4が一番高い!なんてこともなく、
むしろ中小監査法人の方が高い場合も往々にしてあります、そこは注意しておきましょう。
残業時間
監査トレーニーとして採用された場合、
なんと残業は無し、というケースが多いです。
勉強時間を確保して資格取得をしてもらうことを優先していることから、
仕事のないときは勉強していなさい!ということです。
勉強時間の確保が難しい、社会人受験生にとっては夢のような話ですよね。
その他(予備校補助、合格後就職)
監査トレーニーで地味にうれしいのが
法人によっては公認会計士予備校の費用を負担してくれることです。
一部補助というのをよく聞きますが、それでも数十万円負担してくれるということは
先ほどの年収の話に戻ってしまいますが実質年収アップと変わりません。
更に監査トレーニーとして入った法人に、合格後も採用され続けるケースが大半ですから、
もし希望の法人があれば合格前から入所して、合格後も引き続き…なんてこともできるようになています。
私の周りでも多くの方が合格後も同じ法人で働き続けています。
監査トレーニーが公認会計士受験生におすすめな理由
それではなぜ監査トレーニーが公認会計士受験生に特におすすめなのでしょうか。
その理由は主に以下の通りです。
・数ヵ月の試験休暇がもらえる
・合格前から実務経験を積める
・残業無しなど勉強時間を確保しやすい
・安定した給料や予備校代補助をもらうことができる
それぞれ解説していきます。
実務に触れられるので勉強の理解が深まる
公認会計士試験の勉強を少しでもした方はよくわかるかと思うのですが、
実証手続き?分析的手続き?え、分析的実証手続き…?全くイメージがつかない…
特に監査論、本当にテキスト読んでいるだけだと全くイメージがつかず習得に時間がかかりますよね。
私も何回も読んでもその度に忘れてしまっていて、結局監査論はあまり好きになれませんでした。
監査トレーニーとして働くことで、簿記(財務諸表論)はもちろん、株主総会や取締役会など会社法(企業法)に触れる機会も多く、
なんといっても実務上とんでもなく監査論に触れる機会が多いです。
(管理会計論については私は仕事内容によっては触れる機会があります)
実務を通じて得た知識はそうそう忘れません。
そして勉強とのつながりがわかることで、とんでもなく理解を促進することができます。
数ヵ月の試験休暇がもらえる
社会人受験生の最大のデメリット「勉強時間がない」
残業はしなくてすむことが多い監査トレーニーですから、一般的な社会人よりははるかに勉強時間の確保がしやすいです。
しかもそれに加えて、試験前に数か月の試験休暇がもらえるケースもあります。
会計系の資格であるため、計算力が重要な公認会計士試験ですが、正直直前の詰込みはものすごく重要です。
直前期、もっと勉強がしたい…と私も社会人受験時代何回も思いました。
普通の会社であれば試験前に2日有給が取れればいい方です。
(私は論文式の前日までばっちり仕事をしていました、しかも遠方の出張でした)
それが数か月の試験休暇!
本当に夢のようです、恵まれすぎです。
合格前から実務経験を積める
ご存じかとは思いますが、公認会計士試験に合格しても実は公認会計士になることはできません。
ざっくり説明すると
↓
監査業務などの実務3年
&
実務補修所の考査・課題研究など
&
修了考査突破
↓
公認会計士登録
という流れになっています。
補修所に関しては公認会計士試験合格後に通うしかないのですが、
実務要件の3年は合格の前後を問わないため、合格前のキャリアも考慮されます。
つまり、合格前から監査トレーニーとして働くことで、最速で公認会計士登録が可能となります。
残業無しなど勉強時間を確保しやすい
試験休暇については先ほど書いた通りですが、
残業がないことは社会人受験生にとっては日々の勉強時間を重ねる上でとんでもなく重要です。
日本の公認会計士の場合トータルの勉強時間としては3000~4000時間が必要と言われています。
そうか3000時間か、と言っても
1日2時間程度の勉強をいくら重ねても合格することはできません。
覚える速度よりも忘れる速度が上回ってしまうためです。
少なくても1日3時間、できれば5時間程度の勉強時間を継続して確保する必要があります。
残業続きの労働環境でこれが達成できますか?おそらく無理だと思います。
安定した給料や予備校代補助をもらうことができる
収入の面でお話しししましたが、年収は300~400万円、予備校補助の数十万円と合わせれば
実質400万円以上の年収を勉強しながら稼ぐことができるということです。
実際、受験勉強が長期になった場合、生活の基盤を整えるためにもお金は必要です(生生しい話ですが)。
また、安定した収入があるということは、受験勉強をするうえで相当な精神安定剤になります。
収入なし、仕事もなしの状態で、本試験緊張せずに受験できるでしょうか?私には無理です。
なんなら、私は社会人受験生だったからこそ、公認会計士に合格できたとさえ思っています、
それはやはりこの安定した収入と仕事がある精神的安心からです。
監査トレーニーのデメリット
監査トレーニーのデメリットはなんですか?と聞かれることは度々ありますが、
正直あまり思い浮かびません。
強いて言うなら、受験専念できる環境があるならそっちの方が合格は早くできる、ということくらいでしょうか。
もちろん1日に10時間以上勉強できる専念生の方が早く合格できる可能性は高いです、それは当然です。
ただ、働かなければならない環境で合格を目指すのであれば、監査トレーニーほど恵まれたものはないと私は考えています。
監査トレーニーの仕事内容
監査トレーニーが日々どんな仕事をしているか、というと
公認会計士として働いている人の補助、という立場で
実際に監査調書の作成などを行うことが多いです。
(例えば現預金勘定や、有価証券勘定等の分析です)
公認会計士試験合格者の新人とそこまで大きく仕事内容が変わるわけではありませんが、
大きな責任を負うようなことはまずありません。
そして必ず入念な研修やサポートを受けることができますので、そこまで心配する必要もありません。
誰でもしっかり取り組めばできるような業務です。
監査調書の作成などは監査論の手続きが実際に体験できますし、
調書作成を通じて簿記や会社法に触れることも多いですから、
勉強の理解を促進するのには間違いなく有効でしょう。
監査トレーニーを募集している監査法人
監査トレーニーは必ずしもすべての監査法人で採用しているわけではありません。
ここではBIG4等の監査トレーニーの採用情報についてまとめていきます。
EY新日本有限責任監査法人
内容 | |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | ・4年制大学卒業以上 ・日商簿記2級程度の会計知識 |
勤務地 | 東京事務所 |
選考フロー | 書類選考→面接複数回実施予定 |
勤務時間 | 9:30~17:30 |
残業 | 公認会計士試験に合格するまでは、原則なし |
業務内容 | 監査業務全般 |
特記事項 | ・試験休暇制度(~最大2カ月)休暇の一部を有給休暇として消化可能 ・予備校の学費の6割補助 ・試験合格時のお祝い金支給 ※学費補助と祝い金で実質ゼロ円で会計士試験に挑戦可能 |
EY新日本有限責任監査法人では監査トレーニー、という名称で募集を行っています。
こちらは私が調べた中ではBIG$では数少ない「短答式試験合格者でなくても応募可能」となっています。
(まあ、短答合格者の方が採用はされやすいとは思いますが…)
更に言えば、他BIG$ではほとんどが契約社員ですが、監査トレーニーは正社員としての募集となっています。
求人の探し方は上記のリンクから、
Job Search→監査事業部→監査トレーニー
で閲覧することが可能です。
ただ、BIG4の監査トレーニーは人気が高く高倍率です。全然受からない、という話は本当によく聞きます…
有限責任監査法人トーマツ
内容 | |
雇用形態 | 有期契約職員(フルタイム) ※雇用期間中に論文式試験に合格した場合は無期雇用契約を締結 |
対象者 | 公認会計士試験 短答式試験の免除資格のある方 (論文式試験の科目合格の有無は問わない) |
勤務地 | 東京事務所 |
選考フロー | 書類選考及び面接(1回) |
勤務時間 | 9:30~17:30(休憩1時間) |
業務内容 | 監査業務 |
特記事項 | ・ジュニアスタッフ採用説明会への参加必須 ・試験休暇(約3か月)あり |
有限責任監査法人トーマツでは「ジュニアスタッフ」という名称で短答式試験合格者採用を実施しています。
応募に当たっては説明会への参加が必須だったり、基本的に有期雇用での契約になる点で
EY新日本有限責任監査法人とは違いがあります。
募集情報は上記リンクの採用情報、から見ることができます。
KPMG有限責任あずさ監査法人
現状募集無し
ただし、随時情報は更新されるため、こまめに採用ページを確認しておきましょう。
PwCJAPAN有限責任監査法人
現状募集無し
ただし、随時情報は更新されるため、こまめに採用ページを確認しておきましょう。
その他準大手や中小監査法人
BIG4の監査トレーニー職は一般的にも有名で、
社会人受験生であれば誰しも一度は考えるかとは思うのですが、
繰り返しになりますが、倍率が高いです。
実は、BIG4以外のその他の監査法人も実は監査トレーニーに当たる採用は行っています。
ただ、監査トレーニーという名前を使わずに募集していたり、そもそもどの法人が募集をしているのか、自分ではとても調べるのが大変です(というか無理です)
なので、監査トレーニーに強い転職エージェントを利用して網羅的に求人情報を調べる必要があります。
監査トレーニーの求人は流動的ですが、私はこちらの転職エージェントをおすすめしています、よろしければご覧ください。
監査トレーニーの内定率を高める方法
監査トレーニーは人気ポジションのため倍率が高くなりがちです。
そんな監査トレーニーの内定率を高める方法は以下の通りです。
・書類添削や面接練習を受ける
それぞれ解説していきます。
監査法人側の立場を考える
これは監査トレーニーに限らず、ですが、
採用する側の法人の立場を理解することが重要です。
監査トレーニーであれば、
・なぜ公認会計士でもない人材を募集しようとしているのか
→人員が足りないのか…?じゃあトレーニーでも即戦力になれる社会人経験のある、臨機応変な対応ができる融通の利く人物を求めているのかな。
・将来的に採用した人材にどうなってほしいのか
→合格後はこの法人で長期的に働いてほしいのかな。だとすれば法人理解を深めて、ここで働きたいことを強くアピールしよう。
・今、どんな状態であれば採用したいと思えるのか
→少しでも会計士試験合格可能性が高い人を取りたいのかな?じゃあ模試の成績や最新の試験状況などを詳しく準備しておこう。
というような対策が打ちやすくなります。
監査トレーニー職を募集している企業の立場を、とことん考えてみましょう。
書類添削や面接練習を受ける
転職や就職が初めてであればよくわからないかもしれませんが、
法人に提出する書類(履歴書、職務経歴書)や面接はとんでもなく重要です。
これは一朝一夕でどうにかできるものではありません。
公認会計士試験合格者であっても採用ルートが違うため、あまり相談相手としてはふさわしくないでしょう。
可能であれば知見のある方に事前に書類添削、面接対策をしてもらうことで内定率をグッと高めることができます。
監査トレーニーの求人募集の探し方
監査トレーニーの求人募集の探し方としては大きく2つあります。
・転職エージェントで探す
それぞれ解説していきます。
自分で探す
一般的なのは自分で監査トレーニー求人を探すという手段です。
各法人のHPに飛びそこから調べるというオーソドックスな方法です。
ですが先ほど書いたようにBIG4求人であれば
例えば、「EY 監査トレーニー 募集」「トーマツ 監査トレーニー 募集」とかで調べやすいのですが、
他の自分が知らない監査法人を調べることはできません。
(知らないんだから当たり前ですよね)
さらに、BIG4は倍率が高く、BIG4のみを受けて入所できる可能性は残念ながら非常に低いです。
そのためには幅広い監査トレーニー職の求人を見つけ出す必要があります。
転職エージェントで探す
BIG4のみならず、幅広く監査トレーニーの求人情報を入手したいのであれば
転職エージェントの利用は必須です。
特に監査法人に特化した転職エージェントであれば多くの監査トレーニー職の求人情報を保有しています。
また、書類添削や面接対策もばっちり行ってくれますから、内定率を高めることもできます。
しかも利用は無料(タダ)ですから、使わない手はありません。(費用は採用する求人側から徴収するシステムです)
おすすめの監査トレーニー特化のエージェントはこちらになりますので、登録無料なので求人情報だけでも見てみてください。
監査トレーニーに関してよくある質問
監査トレーニーの給料はどれ位ですか?
月収ベースで20~30万円、年収では300~400万円(賞与含む)です。さらに予備校代の補助もありますから、実質400万円以上のケースもあり、かなり高めになっています。
監査トレーニーの倍率はどれ位ですか?
こちら公表されてはいませんが、BIG4はかなり高くなっています。中小監査法人であれば高くても3~4倍というお話を聞いたこともありますから、確実に狙うのであればオススメです。
監査トレーニーは公認会計士試験合格後はどうなりますか?
引き続き同じ法人内で勤め続けることもできますし、他の法人に移ることもできます。ただ私の知る限りでは勤め続ける方が多い印象です。
監査トレーニーの募集時期は?
短答式試験合格者を対象とした場合は、論文式試験合格発表後の11月中旬以降のことが多いです。ただ通年で採用している場合もありますし、突然始まるところもありますので、各法人HPや転職エージェントの求人情報を都度チェックするようにしましょう。
監査トレーニーは新卒でもなれますか?
新卒だからダメということもなく、逆に言えば新卒だけ、という形でも募集はしていません。そして必ずしも4月採用ということもありませんから、新卒でも応募できる、というニュアンス位にとらえておきましょう。
監査トレーニーって何?まとめ
監査トレーニーは監査法人で働きながら公認会計士を目指すことができる最高のポジションです。
もちろん、公認会計士試験に専念できる状況があるのならば、それが一番早く合格することはできます(実務経験などは無視すれば)
ですが働かなければならない状況にある方、安定した収入が必要な方には最高の環境と言えるでしょう。
確かに倍率は低くないですが、検討する価値は十分にあります、参考になれば幸いです。